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2026年7月第1週

配信日: 2026-07-05

5今週の院内共有候補あり

週次ナラティブ

## 今週のトピック3選 1. **股関節疾患における多角的なアプローチの重要性**: FAI症候群では、筋力評価と心理社会的側面への配慮が症状管理に不可欠であることが示されました。 2. **膝関節疾患に対する徒手療法とBFRの有効性**: 高齢膝OA患者においてMWMやMET、BFR併用運動療法が疼痛・機能改善に有効であり、BFRは長期的な効果も期待できます。 3. **血流制限(BFR)療法の幅広い応用可能性と安全性**: 膝OAだけでなくPFP患者においても、BFRを併用した低負荷運動が高負荷運動と同等の効果を持ち、安全性も高いことが示唆されました。 ## 外来適用時の確認ポイント 1. **疾患と患者背景の合致**: FAI症候群、膝OA、PFP患者が対象ですが、各論文で詳細な重症度や活動レベルの記載がないため、当クリニックの一般的な外来患者に適用可能か慎重に判断が必要です。 2. **BFR機器と徒手療法の習熟度**: BFR療法を導入するには専用機器と適切な圧設定の知識、MWMやMETを実施するには手技の習熟が必要です。 3. **運動処方の詳細**: BFR併用運動療法や筋力強化運動の具体的な回数、セット、負荷、頻度、期間については、アブストラクトに記載がない場合が多いため、既存のプロトコルや臨床経験に基づき個別化が必要です。 ## 明日の外来から変えること・変えなくていいこと | カテゴリ | 変えること | 変えなくていいこと | |----------|----------|-------------------| | 評価 | FAI症候群患者に対し、ハンドヘルドダイナモメーターを用いて股関節屈曲、外転、内転筋力を評価する。FAI症候群患者の問診時、身体症状だけでなく心理社会的影響や治療期待、PTへの認識を丁寧に聴取する。 | 変更根拠なし | | 運動処方 | FAI症候群患者で股関節屈曲、外転、内転筋力低下が認められる場合、その筋力強化運動をリハビリテーションプログラムに組み込むことを検討する。高齢膝OA患者で膝屈曲制限、動的バランス低下、転倒恐怖がある場合、MWMの導入を検討する。膝OA患者に対し、BFR併用運動療法(12週間、週2回)を検討する。膝蓋大腿疼痛患者で高負荷運動が困難な場合、iBFRを併用した低負荷レジスタンストレーニング(1RMの30%、週3回、8週間)を提案する選択肢として検討する。 | 変更根拠なし | | 患者指導 | FAI症候群患者に対し、「股関節の特定の筋肉の力が弱いと、症状が悪化する傾向があること」や「FAI症候群は身体だけでなく心にも影響し、治療への期待も人それぞれであること」を説明し、現実的な目標設定のための対話を重視する。膝OA患者に対し、MWMやMET、BFR併用運動療法が有効である可能性を説明する。PFP患者に対し、「血流を少し制限しながら軽い負荷で行う運動も、通常の運動と同じくらい効果的で、体への負担も少ない可能性があること」を説明する。 | 変更根拠なし | | ホームプログラム | FAI症候群患者の筋力強化運動をホームプログラムに組み込むことを検討する。膝OA患者の運動療法にBFRを併用した運動をホームプログラムとして指導することを検討する。PFP患者に対し、iBFRを併用した低負荷運動をホームプログラムとして指導することを検討する。 | 変更根拠なし | ## エビデンスレベル総評 - 高レベル(RCT・メタアナリシス)の論文:5本 - RCT: #3, #4, #5 - RCTのベースラインデータ二次解析(横断研究): #1 - 質的研究の系統的レビュー: #2 - 中レベル(コホート・観察研究)の論文:0本 - 低レベル(レビュー・ガイドライン以外)の論文:0本 ## 用語解説ボックス - **FAI症候群 (Femoroacetabular Impingement Syndrome)**:股関節の骨の形状異常により、股関節を動かしたときに骨同士がぶつかり、痛みや可動域制限を引き起こす状態。 - **MWM (Manipulation with Movement)**:関節の動きを改善するために、理学療法士が関節を特定の方向に誘導しながら、患者自身に動きを行ってもらう徒手療法。 - **MET (Muscle Energy Technique)**:患者自身の筋肉の収縮を利用して、関節の可動域を改善したり、筋肉の緊張を緩和したりする徒手療法。 - **BFR (Blood Flow Restriction) / iBFR (Intermittent Blood Flow Restriction)**:専用のカフで血流を部分的に制限しながら運動を行うことで、軽い負荷でも筋力や筋肥大の効果を高めるトレーニング方法。iBFRは間欠的に血流制限を行う。 - **1RM (One Repetition Maximum)**:1回だけ持ち上げられる最大の重さ。筋力トレーニングの負荷設定の基準として用いられる。

2026年6月第4週

配信日: 2026-06-28

5今週の院内共有候補あり

週次ナラティブ

## 今週のトピック3選 1. **徒手療法の有効性再確認**: 手根管症候群(#4)と肩峰下インピンジメント症候群(#5)において、徒手療法が疼痛緩和、機能障害、可動域改善に有効であることが示された。 2. **遠心性運動の特異的効果**: アマチュア野球選手の肩峰下疼痛症候群に対し、遠心性運動が水平内転ROMと持久力改善に特異的な効果を示す可能性が示唆された(#1)。 3. **装具療法の追加効果の検討**: ばね指のコルチゾン注射治療において、夜間伸展装具の追加による有意な効果改善は認められなかった(#2)。 ## 外来適用時の確認ポイント - **対象患者の限定性**: 遠心性運動(#1)はアマチュア野球選手に限定されており、一般の肩関節疾患患者や高齢者への直接適用は慎重に検討が必要です。IASTM(#3)は関節鏡下腱板修復術後の患者が対象であり、当クリニックの保存療法患者への直接適用は不明です。 - **介入の詳細**: 遠心性運動(#1)やIASTM(#3)の具体的な運動処方や手技の詳細は論文に記載がないため、患者の反応を見ながら慎重に設定する必要があります。 - **効果の期間**: 多くの研究が短期・中期的な効果を評価しており、長期的な効果や再発率についてはさらなる研究が必要です(#1, #4, #5)。 ## 明日の外来から変えること・変えなくていいこと | カテゴリ | 変えること | 変えなくていいこと | |----------|----------|-------------------| | 評価 | 変更根拠なし | 変更根拠なし | | 運動処方 | 手根管症候群患者に対し、徒手療法を積極的に実施する(#4)。肩峰下インピンジメント症候群患者に対し、胸椎徒手療法を検討する(#5)。肩峰下疼痛症候群のアマチュア野球選手に対し、ホットパック適用とストレッチ運動に加え、3つの遠心性運動の追加を検討する(#1)。 | ばね指のコルチゾン注射に夜間伸展装具を併用すること(#2)。 | | 患者指導 | 手根管症候群の痛みには、徒手療法が短期・中期的に効果的であるという報告があることを説明する(#4)。肩の痛みや動きにくさに対して、背骨の動きを良くする治療が役立つ可能性があることを説明する(#5)。ばね指の治療では、注射に加えて装具を使っても、効果に大きな差はないことを説明する(#2)。 | 変更根拠なし | | ホームプログラム | 変更根拠なし | 変更根拠なし | ## エビデンスレベル総評 - 高レベル(RCT・メタアナリシス)の論文:5本 - 中レベル(コホート・観察研究)の論文:0本 - 低レベル(レビュー・ガイドライン以外)の論文:0本 ## 用語解説ボックス - **遠心性運動**: 筋肉が力を発揮しながら引き伸ばされる動き。例えば、重いものをゆっくり下ろすときの腕の筋肉の動き。 - **肩峰下疼痛症候群 (SAS)**: 肩のインナーマッスル(腱板)や滑液包が肩峰という骨の下で挟まり、痛みや炎症を起こす状態。 - **後方肩タイトネス (PST)**: 肩関節の後ろ側の筋肉や関節包が硬くなり、肩の動き、特に内側にひねる動き(内旋)が制限される状態。 - **ばね指**: 指の腱鞘炎の一種で、指を曲げ伸ばしする際に引っかかりや痛みを伴う状態。指が「ばね」のようにカクンとなることから名付けられた。 - **徒手療法 (MT)**: 理学療法士が手を使って、関節の動きを改善したり、筋肉の緊張を和らげたりする治療法。 - **器械補助軟部組織モビライゼーション (IASTM)**: 専用の器具(ステンレス製など)を用いて、皮膚や筋肉、筋膜などの軟部組織を擦ったり圧迫したりして、癒着を剥がしたり血流を改善したりする手技。 - **胸椎徒手療法 (TSMT)**: 背中の上部にある胸椎という部分の関節の動きを改善するために、手を使って行う治療法。肩の動きと関連が深いとされる。 - **手根管症候群**: 手首の手根管というトンネルの中で、正中神経が圧迫されて、指のしびれや痛み、手の筋力低下が起こる病気。

2026年6月第3週

配信日: 2026-06-21

5今週の院内共有候補あり

週次ナラティブ

## 今週のトピック3選 1. **頸部疾患への複合的アプローチの有効性**: 頸椎神経根症や慢性非特異的頸部痛に対し、複数の治療要素(徒手療法、電気療法、運動療法など)を組み合わせた複合介入が、単独介入よりも疼痛や機能改善に優れる可能性が示唆されました。 2. **頸部疾患における遠隔部位への介入の可能性**: 頸椎椎間板ヘルニア患者において、頸部だけでなく腰部へのモビライゼーションを併用することが、疼痛や障害度の改善に有効である可能性が示され、全身的な視点の重要性が再確認されました。 3. **慢性頸部痛患者の治療選択におけるベースライン評価の重要性**: 慢性非特異的頸部痛患者では、ベースラインの特定の臨床所見(両側性疼痛、可動域終末痛、可動域非対称性など)が、徒手療法と運動療法のどちらがより効果的であるかに関連する可能性が示唆されました。 ## 外来適用時の確認ポイント * **疾患の診断名と病態**: 頸椎神経根症、頸椎椎間板ヘルニア、慢性非特異的頸部痛など、患者の診断名と具体的な病態を正確に把握する。 * **慢性非特異的頸部痛患者のベースライン評価所見**: 両側性疼痛の有無、閉塞感の有無、可動域終末での疼痛増強の有無、側屈または回旋可動域の左右差、特定の頚部運動による症状再現性を確認する(論文4)。 * **物理療法機器の有無**: TECAR療法を検討する場合、クリニックにTECAR機器が導入されているかを確認する。 ## 明日の外来から変えること・変えなくていいこと | カテゴリ | 変えること | 変えなくていいこと | |----------|----------|-------------------| | 評価 | 慢性非特異的頚部痛患者の評価時に、両側性疼痛の有無、閉塞感の有無、可動域終末での疼痛増強の有無、側屈または回旋可動域の左右差、特定の頚部運動による症状再現性を確認する(論文4)。 | 変更根拠なし | | 運動処方 | 頸椎神経根症患者に対し、複合介入(関節治療、鎮痛電気療法、神経ダイナミックテクニック、筋力強化運動、頸椎牽引の組み合わせ)を検討する(論文1)。<br>頸椎椎間板ヘルニア患者に対し、頸部だけでなく腰部へのモビライゼーション(KEOMT)を検討する(論文2)。<br>頚部神経根症患者に対し、関節モビライゼーションと神経モビライゼーションを通常ケアと組み合わせて実施することを検討する(論文3)。<br>慢性非特異的頸部痛を持つ女性患者に対し、TECAR療法と軟部組織モビライゼーションを同時に実施することを検討する(論文5)。 | 変更根拠なし | | 患者指導 | 頸椎神経根症患者には、関節治療、鎮痛電気療法、神経ダイナミックテクニック、筋力強化運動、頸椎牽引の組み合わせが痛みを和らげるのに役立つ可能性を説明する(論文1)。<br>頸椎椎間板ヘルニア患者には、首の痛みや動きの改善には、首だけでなく腰の治療も有効な可能性があることを説明する(論文2)。<br>頚部神経根症患者には、モビライゼーションと運動の組み合わせが有効な場合があるが、効果には個人差があることを説明する(論文3)。<br>慢性非特異的頸部痛患者には、いくつかの身体所見から、徒手療法がより効果的である可能性が示唆されていることを説明する(論文4)。<br>慢性的な首の痛みを持つ女性患者には、TECARという温熱療法と手技を組み合わせることで、痛みの軽減や動きの改善が期待できる可能性があり、5週間で15回行うことで効果が持続することも示されていることを説明する(論文5)。 | 変更根拠なし | | ホームプログラム | 論文4の運動療法は理学療法士主導セッションと毎日の自宅運動を含む4週間のプログラムとあるが、具体的な内容は記載なし。その他の論文では具体的なホームプログラムの記載がないため、変更根拠なし。 | 変更根拠なし | ## エビデンスレベル総評 今週の論文はすべて高レベルのエビデンスに分類されます。 * 高レベル(RCT・メタアナリシス)の論文:5本 * 中レベル(コホート・観察研究)の論文:0本 * 低レベル(レビュー・ガイドライン以外)の論文:0本 ## 用語解説ボックス * **頸椎神経根症**: 首の骨(頸椎)から出る神経が圧迫されることで、首や肩、腕、手に痛みやしびれ、筋力低下などが生じる状態。 * **モビライゼーション**: 関節や神経、軟部組織の動きを改善するために、理学療法士が手を使って行う治療手技。関節の可動域を広げたり、神経の滑走性を高めたりする目的で用いられます。 * **ネットワークメタアナリシス(NMA)**: 複数の治療法を直接比較した研究だけでなく、間接的に比較した研究も統合して、すべての治療法間の相対的な効果を評価する統計手法。様々な治療法の優劣を一度に比較できるのが特徴です。 * **TECAR療法**: 高周波電流を用いて体内に温熱を発生させ、組織の修復促進、疼痛緩和、筋緊張の緩和などを目的とする物理療法。深部組織に熱を届けやすい特徴があります。 * **Kaltenborn-Evjenth Orthopedic Manual Therapy (KEOMT)**: 関節の可動性を改善することを目的とした徒手療法の一種で、関節の遊び(ジョイントプレイ)を評価し、その制限に対して特定の方向へのモビライゼーションを行います。

2026年6月第2週

配信日: 2026-06-14

1今週の院内共有候補あり

週次ナラティブ

## 今週のトピック3選 1. 【EMTTの疼痛・機能改善効果】:体外磁気変換療法(EMTT)が、変形性関節症や付着部症による慢性的な筋骨格系疼痛患者の身体機能と疼痛を改善する可能性が示されました。 2. 【物理療法の選択肢の検討】:保存療法における新たな物理療法モダリティとして、特定の変性筋骨格系疾患に対してEMTTの導入が検討されうる知見です。 3. 【QOL評価の多角性】:身体的QOLは改善するものの、精神的QOLには有意な改善が見られなかったことから、患者のQOLを評価する際には多角的な視点が必要であることが再認識されます。 ## 外来適用時の確認ポイント - **対象疾患**: 膝関節症、回旋筋腱板付着部症、腰椎脊椎関節症の疼痛患者。 - **疼痛期間**: 6週間以上の慢性疼痛がある患者。 - **EMTTプロトコル**: 週1回、8週間実施(80 mT, 8 Hz, 10,000 pulses/session)。 - **患者像・重症度**: 論文に具体的な重症度分類の記載なし。 - **運動処方**: 論文記載なし(EMTT単独の効果を検証しているため、運動処方との併用については記載がない)。 ## 明日の外来から変えること・変えなくていいこと | カテゴリ | 変えること | 変えなくていいこと | |----------|----------|-------------------| | 評価 | 身体機能や疼痛の評価に加え、SF-12 PCS/MCSのような身体的・精神的QOLを区別した評価の重要性を再認識し、必要に応じて導入を検討する。 | 既存の身体機能評価や疼痛評価は、EMTTの効果を測る上でも引き続き重要であるため、変更根拠なし。 | | 運動処方 | 変更根拠なし(論文はEMTT単独の効果を検証しており、運動処方に関する記載がないため)。 | 変更根拠なし。 | | 患者指導 | EMTTを検討する際、身体機能と痛みの改善に役立つ可能性があることを説明するとともに、精神的なQOLには直接的な改善が見られない可能性があることも伝える。 | 変更根拠なし。 | | ホームプログラム | 変更根拠なし(論文に記載がないため)。 | 変更根拠なし。 | ## エビデンスレベル総評 - 高レベル(RCT・メタアナリシス)の論文:1本 - 中レベル(コホート・観察研究)の論文:0本 - 低レベル(レビュー・ガイドライン以外)の論文:0本 ## 用語解説ボックス - **EMTT (Extracorporeal magnetotransduction therapy)**:体外磁気変換療法。体外から磁気パルスを患部に照射することで、組織の修復や疼痛緩和を促す物理療法の一種。 - **RCT (Randomised Controlled Trial)**:ランダム化比較試験。研究対象者を無作為に複数のグループに分け、異なる治療法や介入の効果を比較する研究デザイン。エビデンスレベルが高いとされる。 - **プラセボ対照試験**:効果を検証したい治療法(介入群)と、効果のない偽の治療法(プラセボ群)を比較する試験。介入の効果がプラセボ効果によるものではないことを確認するために用いられる。 - **SF-12 Physical Composite Scale (PCS) / Mental Composite Scale (MCS)**:SF-12は、健康関連QOL(生活の質)を評価するための質問票。PCSは身体的側面、MCSは精神的側面に関するQOLをそれぞれ数値化する。 - **付着部症**:腱や靭帯が骨に付着する部位(付着部)に炎症や変性が生じる疾患。テニス肘やアキレス腱付着部症などが含まれる。

2026年6月第1週

配信日: 2026-06-07

4今週の院内共有候補あり

週次ナラティブ

## 今週のトピック3選 1. **慢性疼痛の多次元的理解と評価**: 痛みは身体機能だけでなく、破局的思考、自己効力感、自己制御、QOLといった心理社会的要因と密接に関連しており、多角的な評価が不可欠です。 2. **心理社会的アプローチの統合**: 運動療法に加えて、患者の自己効力感や自己制御を高めるような心理的側面への配慮や、心理教育的アプローチを統合することが、治療効果を高める可能性があります。 3. **機能的アウトカムとQOLの重視**: 疼痛強度だけでなく、日常生活動作や職業遂行能力、健康関連QOLといった機能的アウトカムの改善に焦点を当てたリハビリテーションが、患者の全体的な回復に重要です。 ## 外来適用時の確認ポイント * **患者の年齢層と疾患の慢性期間**: 論文#1は比較的若年層(平均32.7歳)の頚肩部筋膜痛患者、論文#3は小児の慢性筋骨格疾患を対象としており、当クリニックの高齢者や特定の重症患者への直接的な適用には注意が必要です。 * **心理社会的要因の評価ツールの導入可能性**: PEG、PCS、PROMIS PF、PSEQ-10、SSRQ、COPMなどの患者報告アウトカムは外来で導入可能ですが、限られたリハビリ時間内での効率的な実施方法を検討する必要があります。 * **多職種連携の体制**: 論文#4では多職種リハの効果が示されていますが、当クリニックでの多職種連携の具体的な体制や介入内容を明確にする必要があります。 ## 明日の外来から変えること・変えなくていいこと | カテゴリ | 変えること | 変えなくていいこと | |----------|----------|-------------------| | 評価 | 慢性疼痛患者に対し、痛みの強度だけでなく、PROMIS身体機能(PF)、痛みの破局的思考(PCS)、自己効力感、自己制御、職業遂行能力(COPM)などの患者報告アウトカムの導入を検討し、多角的な症状負担や機能的側面を評価する。 | 変更根拠なし | | 運動処方 | 運動療法中に、患者の動機づけや自己効力感を高めるような声かけや目標設定を意識する。 | 各論文で具体的な運動処方(回数・セット・頻度・期間)の記載がないため、既存の運動処方自体を変更する根拠はない。 | | 患者指導 | 慢性疼痛患者に対し、健康的なライフスタイルを維持するための自己管理の重要性を説明し、目標設定の支援を通じて自己効力感や自己制御を高めるアプローチを導入する。疼痛軽減だけでなく、日常生活や仕事のしやすさ、生活の質(QOL)の改善に焦点を当てた説明を行う。 | 変更根拠なし | | ホームプログラム | 患者の自己効力感や自己制御を高めるような、達成可能で段階的な目標設定を伴うホームプログラムの提案を意識する。 | 変更根拠なし | ## エビデンスレベル総評 - 高レベル(RCT・メタアナリシス)の論文:0本 - 中レベル(コホート・観察研究)の論文:1本 (論文#4: レジストリベースの縦断的コホート研究) - 低レベル(レビュー・ガイドライン以外)の論文:3本 (論文#1: 前向き横断研究、論文#2: 横断観察研究、論文#3: スコーピングレビュー) ## 用語解説ボックス - **筋膜痛 (Myofascial Pain, MP)**:筋肉やその周囲の筋膜に生じる痛みで、特定の圧痛点(トリガーポイント)が特徴的なことがあります。首や肩の痛みなど、原因がはっきりしない慢性的な痛みの原因となることがあります。 - **痛みの破局的思考 (Pain Catastrophizing Scale, PCS)**:痛みに対して過度に悲観的、絶望的に考えたり、痛みを誇張して捉えたりする思考パターンを評価する尺度です。痛みの強度や機能障害と関連が深いとされています。 - **自己効力感 (Self-Efficacy)**:特定の行動を成功させる能力があるという、自分自身への信念や自信のことです。リハビリテーションにおいては、患者さんが運動や自己管理を継続できるという自信を指します。 - **自己制御 (Self-Regulation)**:目標達成のために、自分の思考、感情、行動を管理・調整する能力です。健康的なライフスタイルを維持したり、痛みに対応したりする上で重要な心理的要因です。 - **職業遂行能力 (Occupational Performance)**:仕事や日常生活における様々な活動(作業)を、どれだけ効率的かつ満足して行えるかという能力のことです。慢性疼痛患者では、この能力が低下することが多く、リハビリテーションの重要な目標となります。

2026年6月第1週

配信日: 2026-06-02

5今週の院内共有候補あり

週次ナラティブ

週次クリニカルナラティブを生成します。 --- # 週次クリニカルナラティブ **おやま整形外科クリニック リハビリテーション科** **2026年6月2日配信分 | 作成: Claude AI** --- ## 今週のハイライト 慢性アキレス腱症に対して「ヘビースロートレーニング(HSR)」が偏心性運動と同等以上の効果をRCTで実証。「偏心が痛くてできない」患者への処方の選択肢が明確に広がる週となりました。 --- ## 院内共有5選 ダイジェスト **① 慢性アキレス腱症:HSR vs 偏心性運動(★★★★★)** VISA-A改善はHSR群+32点・偏心群+28点と同等以上。偏心で疼痛増悪する患者にはレッグプレス等でのHSRが有効な代替手段となります。 **② 膝OA:PRP vs ヒアルロン酸 メタ解析(★★★★★)** 28件のRCT統合でPRPは6ヶ月時点の疼痛改善が有意に優れる(SMD -0.48)が、12ヶ月では差が縮小。費用対効果の説明場面で活用できるエビデンスです。 **③ 骨粗鬆症:ロモソズマブ→デノスマブ逐次療法(★★★★)** 高骨折リスク閉経後女性で股関節骨折が42%低減(HR 0.58)。骨粗鬆症患者の治療継続意欲を支える関わりが一層重要になります。 **④ 70歳以上の腱板修復術(★★★★)** 機能改善は若年者と同等ですが、再断裂率28%の事前説明が鍵。高齢患者への術後リハでは「再断裂ゼロ」前提を置かない丁寧な目標設定が求められます。 **⑤ ACL再建後スポーツ復帰基準(★★★)** 「術後○ヶ月」ではなく筋力・機能テスト基準での判断が再損傷リスクを半減。復帰判断に客観的クリアランス基準を組み込む根拠として使えます。 --- ## 今週のクリニカルパール - **アキレス腱症の初回評価で「偏心性運動に痛みが増悪するか」を確認する習慣を。** 増悪するならHSRを最初から選択し、不必要な疼痛体験を避けられる - **膝OA患者からPRPについて聞かれたら「6ヶ月の疼痛改善データはある」と答えてよい。** ただし効果の持続性と費用について医師と連携した説明を - **ACL術後の「いつ復帰できますか?」には期間ではなく基準で答える練習を。** 「筋力が健側比90%以上になったとき」などの言い方が患者の主体的な目標設定にもつながる --- ## 注意事項 本ナラティブはAIによる論文要約をもとに作成しており、個別患者への適用判断は必ず原著論文および担当医の指示に基づいてください。

2026年5月第4週

配信日: 2026-05-26

3今週の院内共有候補あり

週次ナラティブ

今週は腰痛・頸椎疾患・手関節疾患に関する3論文をピックアップしました。非特異的腰痛に対する認知行動療法の有効性を示したRCTは特に注目で、保存療法の幅を広げる内容です。頸椎症性神経根症の自然経過に関する観察研究も外来での患者説明に役立ちます。